スチームクリーナーはどんなタイプがおすすめ?
スチームクリーナーは、電気で加熱した熱湯を高圧蒸気によって、こびりついた頑固な汚れも水蒸気の熱の力で浮かせて落としやすくできる洗浄機です。

特に、油汚れやカビなど、雑巾だけでは簡単に落とせない汚れに効果を発揮します。
洗剤を使わずに汚れを落とすのと同時に高温による熱消毒が可能なので、事実上バクテリアやウイルスを99.99%除菌できることから衛生面でのメリットもある洗浄方法です。

一方、水の力で強力に汚れを落とす別の方法として、これまでは高圧洗浄機が注目されてきましたが、家の中では使用することができません。また、高圧洗浄機は、常に水道の蛇口にホースをつないで水を出し続けないといけないので大量の水を使用します。
その点、スチームクリーナーは、内部のボイラーやパネルで水を加熱した蒸気を使用するため少ない水量で済むだけでなく、高温蒸気で気化しやすいことで水を飛び散らせる心配もありません。
このページでは、スチームクリーナーの種類や加熱方式の違いの確認と、利用目的に合わせたオススメのスチームクリーナーを紹介します。
高圧洗浄機との違い
高圧洗浄機は、水道のおよそ40倍という圧力の水を吹き付けることで汚れを落とす洗浄機です。

主に泥、砂、ホコリ、または、苔などの汚れを落とす方法として最適ですが、使用場所によっては、ペンキなども簡単に剥がれてしまうほどの水圧です。
一方のスチームクリーナーは、油汚れ、ぬめり、皮脂汚れ、カビなど、洗剤を使用しないときれいに落とせない汚れを洗剤なしで落とせる洗浄機であり、主に屋内での使用を想定して作られています。
スチームクリーナーの掃除範囲
色々な掃除用途に活躍するスチームクリーナーですが、具体的にどのような使い方があるのか確認していきましょう。
床の掃除
スチームクリーナーで定番の掃除場所と言えば、床掃除です。
フローリングだけでなく、畳の掃除にも使用できる他、お風呂場などの掃除に用いれば、洗剤を使うことなく床に潜むカビ対策にもなります。

一般的なモップやぞうきんなどで力いっぱい擦っても、汚れがいまいち落ちないことがありますが、スチームクリーナーを使用すれば、少ない力で汚れを効果的に落とすことが可能です。
ただし、フローリングの場合、使用しているワックスなどによっては、蒸気の熱でワックスが取れることがあるので注意が必要です。
キッチン周り
スチームクリーナーを使用して、最も重宝するのがキッチン周りです。

特に、ガスコンロやレンジフードに付着した油汚れのベタベタは、洗剤をたっぷり付けた雑巾で拭き取ってもなかなか取れないだけでなく、雑巾を洗って拭くという作業の繰り返しを何度となくしなくてはなりませんが、スチームクリーナーの蒸気なら油汚れを浮かしやすくしてくれます。
ガスコンロなら五徳などには、黒くこびりついた汚れがありますが、スチームクリーナーに真鍮ブラシのアタッチメントを取り付けることで黒ずみのような汚れも落としやすくなります。

また、レンジフードの金属フィルターの隙間にも蒸気が入り込むので、ブラシで落とせない汚れ落としにも最適です。
カーペットやソファ
スチームクリーナーは、カーペットやソファなど、なかなか洗うことのできない繊維質のものを洗浄する場合にも重宝します。

コーヒーや醤油などの調味料をこぼしてしまうと、色の濃いシミが付いてしまうことがあります。雑巾に水を含ませて何度も擦ったり叩いたりしても、なかなか汚れが取れないこともあります。
そんな時にスチームクリーナーを使えば、蒸気の力を用いて熱で浮かせながら分解して汚れを落としやすくしてくれます。
水垢取りも可能
スチームクリーナーは、水垢を落とす場合にも活用できます。

お風呂の鏡やキッチン、洗面台の水垢など、「水場=水垢」となり、見た目も汚れて見えますが、スチームクリーナーに専用のカルキ除去剤などを混ぜて使用することで水垢を落としやすくする方法もあります。
ただし、水垢はカルシウムが結晶化しているので簡単には落ちませんので、最終仕上げは水垢落とし用のコンパウンドが最適です。
屋外や車の掃除

他にも、家の中の汚れ掃除だけでなく、車のシートやホイールなど、屋外での掃除にも活用することができます。
スチームクリーナーの種類
スチームクリーナーには、パワフルで大型のキャニスタータイプ、手軽に使用できるハンディタイプ、そして、床掃除に最適なスティックタイプの3種類が主流となっています。
それぞれ、どのような特徴があるのか解説していきます。
キャニスタータイプ
キャニスタータイプの特徴はスチームクリーナーの中でも最も大きく重いタイプです。ホイールが付いていて移動できる家庭用掃除機のような形をしています。

水を加熱する給水タンクが大きくボイラーも大きいため、その分3~5kg程度の重量があります。
その代わり、高温高圧蒸気を出せる高性能なものが多く連続運転が可能なので、一度に広い範囲をパワフルなスチームで掃除することが可能です。
スチームクリーナー自体を持ったまま使えない反面、長いホースの先に蒸気の出るノズルが付いているため、本体を置いたまま広い範囲の掃除に適しています。

特に、雑巾や洗剤ではなかなか落ちない厳しい汚れを落とす時には、最もパワーのあるキャニスタータイプがオススメです。

キャニスタータイプは、待機時間(ヒートアップタイム)の長さがデメリットとして言われてきましたが、ケルヒャーの「SC3 EasyFix」のように、30秒という短時間で加熱が完了するタイプも出てくるようになりました。
その分、電気代は覚悟しておかなくてはなりません。
ケルヒャーのSC2シリーズの消費電力が1,200Wなのに対して、待機時間の短いSC3シリーズは、1,500Wとなっています。
キャニスタータイプは、広い範囲を掃除できる万能型ですが、サイズが大きくなるため「保管場所に困る」という声、または、「使用のための準備が億劫」という声も少なくありません。
ハンディタイプ
ハンディタイプは、軽量で持ち運びしやすいのが特徴です。

特にキャニスタータイプでは、ホースが届かないような高い場所の掃除にも使うことができるのがメリットとして大きいと言えます。
ハンディタイプの加熱方式は、パネルタイプとボイラー式があり、今では、ボイラー式が主流となてっているので、キャニスタータイプと同じくらいの高温高圧蒸気を出すことも可能です。
ただし、給水タンク容量が少ないため長時間使用できないのがデメリットです。

日常使いで気になる箇所だけに使用する場合はボイラー式構造のハンディタイプが最適ですが、アイリスオーヤマのようなノズル付きでキャニスターの小型版のようなハンディタイプなら、広い用途に使うことが可能です。
スティック(モップ)タイプ
スティックタイプ、もしくはモップタイプと言われるタイプは、蛇腹のホースがなく本体から直線上にモップが付いているタイプです。

床掃除に用途を絞って作られたスチームクリーナーですが、ハンディタイプと同じように高い場所での使用を想定した製品もあります。
また、スチームの加熱方法には、モップ部分に熱したパネルに水を流して蒸気を出す方式、または、本体で熱した蒸気をモップまで流すタイプがあります。
パネルタイプの加熱方式の製品の場合、本体上部に吸水口があり水を入れやすい構造になっていて、圧力が低いままで蒸気を出すためボイラー式よりも給水作業の手間が少なくできるメリットがあります。
基本的にヒートアップタイムは短く、待つことなく使用できるのもうれしいところです。
加熱方式の違い

スチームクリーナーは、見た目のタイプの他に加熱方式の違いがあり、パワフルなボイラー式とヒートアップタイムの短いパネル式の2種類が主流となっています。
新たに、ヒートアップタイムが短く蒸気温度も高くできるフローヒーター式が出てきました。
それぞれの違いについて確認していきましょう。
ボイラー式
ボイラー式は、密閉状態の給水タンクをヒーターで加熱して高温高圧の蒸気を作り出し、ノズルから一気に噴射する構造になっています。
この構造のキャニスタータイプなら、高温高圧蒸気をパワフルに出し続けられるメリットがある反面、タンク内の水をすべて加熱しなければならないことで待機時間が長くなるデメリットがあります。
待機時間をなるべく短くしたい場合は、吸水量を減らすことでの多少の調整はできますが、その分、長時間連続運転できるというメリットを消すことになります。
通常パネル式
通常パネル式の特徴は、給水タンクとポンプが別にあり、ヒーターに水を送ることで加熱する構造になっています。

ヒーターの上を水が通過することで加熱されて水蒸気に変わる方法なので、アイロンのようなものと考えるとわかりやすいと思います。
パネル式は、待機時間が短くすぐに蒸気を出すことができますが、反面、ボイラー式のように密閉されていないので高温高圧蒸気を出せないのがデメリットです。
その分、フローリングの汚れ落としでは、ワックスへのダメージを軽減しながら使うことができます。
スーパーヒートスチーム式
パネル式のもう一つの種類として、スーパーヒートスチーム構造というものがあります。
このタイプは、通常のパネル式からヒーター部分の構造を変化させたもので、ヒーターを1枚のパネルではなく立体型にしていることで加熱効率を向上しているのが特徴です。
まず、ヒーターで水を沸騰させた後に発生した蒸気いをさらに加熱するという二段階方式の加熱によって、通常のパネルタイプより高温蒸気を出せるようになっています。
ただし、ボイラー式と比較すると圧力は弱いので、メリットと言えば、通常のパネルタイプと同じように待機時間が短くて済むことです。
フローヒーター式
さらに、ケルヒャーのSC3 EasyFixで採用されているフローヒーター式というものがあります。

フローヒーター式の仕組みは、本体内部のコイルに電気を流して熱を発生させ、同じようにコイル状に巻かれた内部の細い管の中に水を通して加熱するというものです。
この方式では、ボイラー式のようにタンク内部の水をすべて加熱する必要が無いため短時間で蒸気を作り出せるだけでなく、水のつぎ足しも可能です。
構造としては、瞬間湯沸かし器と同じようなものです。
スチームクリーナーの選び方
スチームクリーナーにも色々な種類がありますが、選ぶ上で基準とすべきことは、どのような用途に使用するかが重要です。
用途別にどのタイプが適しているのかアドバイスしていきます。
色々な用途に使いたい
家中の色々な掃除にスチームクリーナーを使いたい場合、または、一度にまとめて色々な場所を掃除したい場合は、キャニスタータイプが最も万能です。

キャニスタータイプには、ホイールが付いていて家庭用の掃除機と同じように使うことができるので持ち運ぶ必要がなく、スティックタイプと同じようにフローリングの掃除にも最適です。
ただし、本体が水を入れると5kg前後と重く、そこまで長いホースが付いているわけではないのでレンジフードなどのような高い場所の掃除には不向きです。
キャニスタータイプで高い場所の掃除する場合、台の上に乗せてやっと届く程度です。また、水滴がポタポタと垂れてきます。
キッチン周りで手軽に使いたい
必要に応じてさっと取り出して使いたい場合は、ハンディタイプがオススメです。

例えば、食器の油汚れがしつこくて落ちない場合、または、鍋にアクなどの汚れが付着してスポンジでもなかなか取れないような場合には、ボイラー式のハンディを使うといとも簡単に汚れを落とすことができます。
ハンディタイプはコンパクトなタイプなので、収納場所にも困りません。
床掃除を心がけたい
床についた汗の汚れやペットによる汚れ、または、裸足で歩いて雑菌が増えた時のニオイ対策として日頃から掃除したいという場合には、スティックタイプがオススメです。

スティックタイプは、日常的に使えることを想定しているため、パネル方式の加熱でヒートアップタイプも短いので手軽に使用できるだけでなく、立てたまま置くことができるので場所も取りません。
ただし、高圧蒸気を出すことはできないので頑固な汚れを落とすのは難しいです。
オススメのメーカーは?
日本で人気のスチームクリーナーからオススメを選ぶなら、ケルヒャーとアイリスオーヤマの2社でしょうか。
ケルヒャーのスチームクリーナーの特徴
ケルヒャーのスチームクリーナーは、「SC+1~4+EasyFix」というシリーズで分類されていますが、SC1は、小型のハンディタイプとして使用できながら、床用のアタッチメントなども付いているタイプです。

手軽で床掃除もできるタイプを探しているなら、ケルヒャーのSC1 EasyFixがオススメですが、連続噴射時間は6分程度と短いため、フローリングの面積が広ければ使用の途中で水切れを起こしてしまうかもしれません。

ハンディタイプでは事足りないと感じる場合は、キャニスタータイプの中でも、重量が2.9kgとそこまで重くない「SC2 EasyFix」がオススメです。
こちらは、金額も2万円弱で購入できるので、重量、サイズ感、費用のバランスが取れたタイプと言えるかもしれません。
ただし、Amazonでレビューを見てみると結構評価が分かれているので、知名度が高く家電量販店やホームセンターに置かれているからと言って一概に良いとも限らないようです。
アイリスオーヤマのスチームクリーナーの特徴

アイリスオーヤマのハンディタイプのスチームクリーナー「STM-304N-W」は、ロングホースが元々付いているタイプで台所の上などに置きながら作業も可能です。手軽に持ち運びができるので、車などで使うのにも最適な軽量性があります。
ただし、Amazonレビューを見てみると「蒸気温度が低い」という声も少なからずあったので、悩みどころかもしれません。

また、ノズルの横には、チャイルドロックによってサイドボタンを押さないとロックが外れないようになっているので、小さい子供のための事故防止対策も万全に考えられています。
ハンディタイプは、本体の根元からノズルが出せて、短めのホースが付いているタイプもあるので用途に応じて選ぶことができます。

掃除の用途から考えてハンディタイプでは少し物足りないと感じる場合は、アイリスオーヤマ製のキャニスタータイプ「STM-416-W」などもあります。
給水タンク容量は、1.5Lあり連続40分の運転が可能で、金額も1万円程度とお得です。
一体型のホースは、全長190cmと十分な長さがあるので、広い範囲を掃除することが可能です。また、ノズル自体を本体に設置できるのも使い勝手が考えられています。
ただし、Amazonのレビューは、あまり良い評価とは言えません。
まとめ:金額よりも用途で選ぶ方がお得
一概にスチームクリーナーと言っても、キャニスター、ハンディ、スティックという用途の他に、ボイラーやパネルタイプのように加熱方式によっても種類が分かれています。
価格によるコストパフォーマンスだけで判断してしまうと、お得だけどあまり出番がないタイプを選んでしまうなんてことがあるかもしれません。
掃除範囲の広いボイラー方式のキャニスタータイプを購入しても、使う機会が少なければ、せっかくの買い物が無駄になってしまうので、使用用途を明確に決めてから購入するのがオススメです。